『少しは私に愛をください』

               牧師 林 宣雄

 先日、新聞に載っていた記事に目が釘づけになった。昨年一年間に負債や生活苦などの「経済・生活問題」が動機の自殺者は7,947人に上ったことが警察庁のまとめで分ったという。自殺者は7年連続で3万人を越える。1998年から倒産や失業による自殺が急増しているという。

 もう一つ、気になる記事もある。昨年一年間に警察が捜索願を受理した家出人は95,989人である。年齢別で60歳以上が15,826人で増加しているという。動機は「家庭関係」が一番多い。統計上、日本社会のゆがみ現象を示している。さらに、統計では知ることが出来ない複雑な人間模様があるにちがいない。人間は孤独になった場合、生きる力を失うのではないかと思う。上揚の「少しは私に愛をください」という歌詞は小椋佳の作品です。振り向いてくれない好きな人、手紙を一度もくれなかった友、家族の誰からも声をかけてもらえなかった人・・・そんな人でも「少しは私に愛をください」という気持ちがあるものです。本当は、もっとたくさん愛がほしいのだけれども、少しだけでよいのです。

 作家の三浦綾子を偲んで夫の三浦光世氏が書いているエッセイで「氷点」の主人公陽子の語る言葉を紹介している。

「真に人の命を惜しむのであれば、その死をきっかけに、人生で最も大切な魂の問題に立ち向かって、何ものかをつかむのが本当の意味での命を惜しむということではないだろうか」

「神は、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。そのひとり子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」
                    (ヨハネによる福音書第316)

                       〔2005年6月5日〕