「教会暦」とは何か −その1−

 

林 宣雄牧師

 

 フランスの神学者ポール・リクールは「暦は、宇宙時間と各人の経験時間の間にかけられた橋である。しかも、集団生活の社会時間を作り出す」。自然現象と結びついた生活をしていた古代人にとっては、暦は重大な意味をもっていました。ところで、暦とは単に時間の流れを計ったり、特定の時刻を記憶したりするためにだけにあるのではない。集団の文化やライフスタイル(生の型)を維持したり継承するものですから、必ず特別の祝祭日や意義づけた期間、祭日や節句が配置されて集団の価値観や歴史を確認することがなされます。ですから、多くの場合、そこでは集団の原初の物語(神話や昔話)が語られ、歴史上の事件や出来事が記念されます。また、儀式や芸能の形で再現されたり、共同体の団結のためのさまざまな行事が行われます。宗教社会学では「ハレ」と呼称し、みなが晴れ着(ハレギ)を着ます。それが祭りなのです。私はそれらのことを「意味論」で研究しています。

 さて、キリスト教の暦にはユダヤ教から受け継いだ信仰は、他民族のように日や月や星を拝むことをしません。日本人の古代社会は太陽崇拝であったようです。キリスト教ではかつて一回限り起った歴史的な出来事の中から神の意思を確かめます。イエスの誕生・死・復活などです。季節はくりかえしますが、歴史はくり返さないという歴史観です。

                   〔2006年7月2日〕