『戦争はなぜ起きるのか』

 

林 宣雄牧師

 

 「子どもたちの8月15日」(岩波新書)という本を読んでいたら俳優であり、後に参議院議員に当選し、政界を引退して最近は著述業をしている中村敦夫氏の文面にふれた。

 氏は1940年生れで、私より3歳若い、上記の「戦争はなぜ起きるのか」、誰れもが知りたい問いであろう。「無限の経済成長」を究極の目標として突き進んできた人類の信仰であり、自由主義も社会主義も、同じ穴のむなじであると述べている。戦争の本質は経済活動の極端な表現でしかない。「経済成長」を国家の、企業の、地域の、そして個人の目標にしないという覚悟と合意がなければ平和はただ飾りものであり続ける。確かに具体的には食料の自給自足、地産地消費、地場産業の強化、経済の地域内回転、世界人口の削減が必要となる。無限の経済成長を志向していけば強肉弱食の状況になってくるのは必死であろう。教育や福祉、医療、介護といった制度もその意味で大きく政治の課題であると同時に個人や家族が克服しなければならない問題のように思う。広い世界の各地に、一方に裕福で太った人がいれば、他方で鉛筆のように栄養不足で細い人もいる。地域社会が以前のように村落共同体ではなくなっている。情報化社会といわれ、効率性の向上だけが求められた個人や家族は、国家や行政から独立した主体性を回復しなければならない。


                 〔2006年8月27日〕