『壊れる日本人』

 

林 宣雄牧師

 

 上記の本は柳田邦男氏が新潮社から出されたものである。今の子どもたちが変になっている。目に見える形や目に見えない形で進行している。著者は()(みつ)なデータ収集をしてその分析をしている。目に見える現象としては大量(さつ)りく、公害、事故等や犯罪も強悪になっている。目に見えない「負の遺産」の影の部分はIT革命、情報化社会の特徴ともいえる。バーチャルリアリティ(仮想現実)を現実と思う若者が増えている。私が10年前JB(日本バプテスト同盟機関誌)に「日本の国土と宗教」と題して三回シリーズで紹介した。このタイトルに「新」という文字を入れて考察している。テレビやゲームによる人格形成の障害、ケータイ・ネット社会が生み出す言葉(会話)の標準化やマニュアル化された社会システムの中で個人や企業や組織体が総合的判断の欠如を生じさせている。社会全体が効率性の向上を至上価値としてきたツケが今いたるところで「負」の要素となって表面化し人間の生命や存在まで危機にさらしている。

 先般、首都圏で発生した大規模な停電で送電線に接触したクレーン船が江戸川でクレーンのアームを持ちあげたまま工事をしたという。誰が見てもあのような事故は起こるのが予見される。この停電により家庭への送電、信号機停止、エレベータの閉じこめ、通信、(てん)()、株式市場、工場の作業がストップした。異常に気づかない社会となった。

                          〔2006年9月3日〕