「現在する過去」と「過去する現在」

―その1―

 

林 宣雄牧師

 

 現在、研究室で古代日本人の時間意識について研究している。できるだけ諸民族の時間意識についても関係学術書で学び始めている。少しだけ紹介したい。

 北アメリカのホピ族の文化を調査したベンジャミン・ウォーフが時間の観念について次のように報告している。

 ホピ族にとって時間は…(ちく)(せき)されるのである。おなじくりかえしは消費されるのではなく蓄積されるのである。英語を話す文化圏では、今日や昨日や明日というそれぞれの日をべつべつの日として意識する。けれどもホピの文化圏では過去が現在と区別されない。すなわち以前の日にあったことは、同じ日の再現である今日の日のなかに刻みこまれて蓄積している。過去は帰無することなしに現在しつづける。ホピ族の時間感覚は言語や雨乞い豊作を祈る儀式、舞踊のような行動文化にもあらわれる。ホピの人たちは二つの宇宙形式から世界は成り立っている。(けん)(げん)された過去と顕現されつつある現在は歴史性を内在する物理的な宇宙である。まだ顕現されていない未来も魂の中に現われ存在する。動物、植物、無生物の魂は、自然のあらゆる形、姿に現われてくる。人間と自然との連続性の感覚が「現在する過去」「過去する現在」なのである。

               〔2006年9月10日〕