『キャロル(イギリス)の成立とその背景』

 

林 宣雄牧師

 

 キャロル(Carol)という単語が書物に現れるのは13世紀末頃です。ギリシャ古典劇中の一種のダンスから出た。オーボエ風の(ふえ)でダンスを伴奏する人という意味のchoraulesという語もあり、キャロルはその発生において輪舞に関係があったことは間違いないようです。舞曲型キャロルは宗教性と大衆性を意識し、スタンザとバードゥンによって構成される。スタンザは定型詩の節です。バードゥンは一種の祈り返しRefrainです。

 中世の人々は祭りの日にしばしば行列を行いました。行列は歌と舞踏を含むものでした。歌詞は雪とか寒い風とかベツレヘムの風景とかで、イメージは単純で聖書的です。キャロルに影響を与えたのはイギリス風バラードです。讃美歌第二編「世のひと忘るな」は18世紀のものです。宗教行事としての行列は現在もいろいろな様式でヨーロッパ各地に残っております。バードゥン・スタンザ様式のキャロルなどの宗教歌が歌われました。ペイジェントなど、聖劇用にも多くのキャロルがつくられ、うたわれました。

 農業生産、商業、手工業などの爆発的拡大、ギルドなどの成長と発言力の増大、科学技術の発達といった社会構造の変化が色々な形で宗教の領域に入りました。キャロルはその一列です。

 

〔2006年12月3日〕