『ノエル(フランスの宗教(みん)(よう))』

 

林 宣雄牧師

 

 ノエルNoelはラテン語、古フランス語からきている。「(キリスト)誕生の」という意味である。ノエルを定義すると、音楽としてみれば、グレゴリオ聖歌や教会歌、そしてシャンソン、アリアなど種々の音楽文献に属するものであって、どれかひとつにまとめることはできない。文学としてみれば、ノエルの歌詞はフランス語、あるいはフランスの地方語にもとづいた芸術詞である。その内容はキリストの誕生、とくにベツレヘムにむかう羊飼いたちの行進、またそのほかの降誕の出来事をしばしば風刺的に取り扱っている。

 キャロルは、受難節、復活節など多種多様であるが、ノエルはクリスマスに限定されている。キャロルはある一定の韻律形式をもつがノエルは原則として自由である。

 紀元13世紀から15世紀をノエルの成立の時期とみることができる。グレゴリオ聖歌や準礼拝式のうたに世俗のうたの(せん)(りつ)がもちいられた。紀元16世紀から17世紀をノエルの発展期としてみることができる。ミサ通常文のキリエがノエルの旋律でうたわれている。18世紀にノエルは完成期を迎える。ノエルは演奏会形式で演奏されるようになり、その結果、さまざまな器楽のための編曲が登場した。その多くは組曲形式で書かれた。19世紀から現在までは、ノエルの復興期とみることができる。ノエルがフランスの民謡であることから、多くの人びとにうたわれ、愛されてきた。


〔2006年12月10日〕