『ドイツのクリスマスの歌』

 

林 宣雄牧師

 

 19世紀、北ドイツ・リュベックの豊かな市民階級のクリスマス・イブの様子をトーマス・マンの名作『ブッテングローク家の人々』は描いている。聖書の朗読とクリスマスの歌の合唱、家庭でのほのぼのとした祭りの情景が目に浮かぶようです。ドイツ語圏内(ドイツ語を話す国々、ドイツ、オーストリア、スイスの一部)では、クリスマスの歌をキャロルとかノエルとか呼ばない。単純にクリスマスの歌Weihnachtsliederと呼ばれる。

 最も古い歌としてキリストの誕生を歌った歌詞、(せん)(りつ)で記録に残されているものとしてキリエライスKyrieleisがある。この()(ぼく)なキリストを歓迎する歌は、ライン河の下流地方から歌いはじめられたといわれる。キリストの生まれた時間に合わせて祝われる深夜ミサの中で典礼の一部として歌われたものである。会衆と司祭、また聖歌隊と交互に歌いあう交唱によくあらわれるラテン語とドイツ語混じりのIn dulci jubio(もろびとこえあげ)16世紀の礼拝は、今日の礼拝に比べてはるかに生き生きとしていた。大人とともに参加する子どもたちは鈴をつけた小さなゆりかごをゆすり「アイヤ、アイヤ、スサニ、スサニ」とかけ声をかけて歌ったクリスマスの子守歌「きたれや、み使い」(第二編220)ルターの創作で有名な「いずこのいえにも」(第一編101)その他、多くの歌があるが省略する。


〔2006年12月17日〕