「自然と歴史」−その4−

 

林 宣雄牧師

 

 歴史法則の特殊性

 三つの歴史に対応して三つの時がある。

円環的時間、直線的時間、垂直的時点の三つである。自然的時間は第一の円環的時間であり、近代人が発展させてきたのが第二の直線的時間であった。歴史の法則は、第二の時とをふまえた第三の時の構造的関係の中で成立し、発見されうる。歴史を第一と第二との関連で見ると自然科学に解消されてしまう。

 自然は周期的に反発しつつ常に同一にとどまっている。一方、歴史は常に変化し常に新たになりながら、その時々の歴史的出来事はいつも唯一回的な性格をもっている。歴史は繰り返しというものはない。自然の法則は規則正しいから、数学や力学の方法で測定されるけれども、歴史の法則は不規則な、偶然とみえる。人間の歴史は、人間の自由が創り出しつつ断じて人間の意のままになるものではない。文明の歴史において、人間はしばしば自らの創り出した制度や法律や社会体制によって復讐されている。文化創造が文化破壊をもって人間に復讐する。医療、福祉、教育といった制度が恐怖や不安や絶望の地獄絵図となる。歴史は反抗と闘争、征服と支配を好むものである。階級と戦争により汗ばみ血ぬられてきた。人間の自由の逆用と濫用により人間は自己自身に矛盾している。歴史は時のしるしを見分け、洞察することが求められる。

〔2007年1月21日〕