「空間とは何か」−その1−

 

林 宣雄牧師

 

 広辞苑によると「時間」と「空間」は共に人間の認識の基礎を成すもの、と説明されている。今回から、しばらく「空間」について考察してみたいと思う。多くの人々の率直な疑問は「空間とは何か」という問いであろう。

 19世紀末に提起された問題、すなわち物理学や幾何学によって記述される空間と私たちが現実に体験する空間との(かい)()について解決されていない。この乖離を縮める作業をになったのが現象学であり、文学や絵画であった。

 しかし、(けい)(かん)は逆に広がった。最近はパソコン等の発達により「(のぞ)きこみ」は全く異なった方向へと展開するようになった。通常空間という場合、今日の物理学的な常識として「時・空間」をさしている。その意味からすれば、空間とは、状態あるいは状況である。時間をふまえた空間認識が、方法的に完備されているとは言いがたいのである。

 数学者のリースマンは「空間は、便宜的に解決される」といっている。空間はそのつど論理的に都合がよいように解決されるものなのである。現象学では、空間とは、意識のはたらきであるところの「方向定位」がなされる場所であり、中心としての身体からさまざまな方向定位がなされることによって、空間が浮上してくる。ハイデッカーは、私たちの存在が空間的であるから、その限りにおいて空間を発見する、と言う。

〔2007年2月18日〕