「空間とは何か」−その3−

 

林 宣雄牧師

 

 都市の空間的、場所的な全体像は(とら)えにくい。大都市の空間は予測のつかない成長をし、道路によって横断し、広場によって穴をあけられた建物の織物のようである。都市の空間的な形態や場所としての構造が「社会的」であるあり方は必ずしも一様でない。一つの社会が「都市」という形において、いかにして場所や空間を自らのものとして、社会の一部をつくりあげていくのか。古代社会における都城の都市空間は近代以前においては洋の東西を問わず、都市は城壁に囲まれた一種の(よう)(さい)である。古代ローマや古代インドの都市は、その構造が神話的な秩序や宇宙論、世界観を表象するものとして建設された。

 私たちの社会が「都市」という形で場所や空間を自らのものとして組織する。今日の都市は生物レベルで組織され競争に基礎を置く「共生的社会」と文化レベルで組織されるコミュ二ケーションとコンセンサスに基礎をおく「文化的社会」との二つの層からなる。

 都市という社会が出自や信仰、伝統や慣習を異にする人々や集団を、場所性や空間性を(ばい)(かい)として一つの「場」に結びつける社会であるということだ。日本における古代都市平安京から中世・近世は荘園制や市場経済とは異なる関係原理によって、公家(くげ)の屋敷と寺領、商工業者の(ちょう)共同体の集合体というまったく異なる形態をもった都市へと変容した。

〔2007年3月4日〕